工場でキッティングを取り入れることで、組み立てに必要な部品や資材をあらかじめそろえ、作業を円滑に進めやすくなります。この記事では、工場におけるキッティングの概要やメリット、導入時の課題、運用を改善するポイントなどを解説します。生産性の向上や作業ミスの削減を検討している企業の担当者は、ぜひ参考にしてください。

キッティングとは

工場におけるキッティングとは何か、サブアセンブリー、バンドリングとの違いとあわせて解説します。

工場におけるキッティングとは

工場におけるキッティングとは、製品の組み立てや作業に必要な部品・資材を、品目や数量ごとにあらかじめ取りそろえてセット化することです。必要なものを工程別や作業単位で準備しておくことで、作業者が部品を探したり、個別に取りに行ったりする手間を軽減できます。倉庫では出荷用の商品を、製造現場では組み立てに必要な部品や資材をそろえる作業などが該当します。 

サブアセンブリーとの違い

サブアセンブリーとは、複数の部品を組み立て、完成品の一部となる中間ユニットを作る工程です。キッティングが必要な部品や資材を取りそろえる作業であるのに対し、サブアセンブリーでは、そろえた部品を実際に組み立てます。キッティングは、サブアセンブリーや最終組み立てを円滑に進めるための前工程として行われることがあります。 

バンドリングとの違い

バンドリングとは、複数の完成品やサービスを一つのセットとしてまとめ、販売・提供することです。一方、工場におけるキッティングは、主に組み立てや作業に必要な部品・資材を事前に取りそろえる工程を指します。どちらも複数のものをまとめる作業ですが、バンドリングは提供する商品をセット化し、キッティングは後工程で使用するものを準備する点が異なります。 

工場におけるキッティングの例

工場や作業拠点では、さまざまなキッティングが行われています。製造現場では、組み立てに必要な部品や資材を取りそろえる作業を指すのが一般的です。一方、IT機器では、端末を使用できる状態にするための設定作業もキッティングと呼ばれます。具体例として、次のようなものが挙げられます。  

・自動車や産業機械の組み立てに必要な部品のセット化

・医療機器や精密機器に使用する部品・付属品の取りそろえ

・電子機器の製造に必要な基板、ケーブル、ねじなどの準備

・製品に同梱する説明書、付属品、販促物などのセット化

・仕様や納品先ごとに異なる部品・資材の取りそろえ

・パソコンやスマートフォン、タブレット、POSレジなどの初期設定やソフトウェアのインストール

・納品先や用途に応じたIT機器のラベル貼付、付属品の同梱、梱包  

工場でキッティングを活用するメリット

工場にキッティングを導入することで、生産性の向上、コスト削減といったメリットにつながります。ここでは、5つのメリットについて解説します。

生産性が向上する

工場にキッティングを取り入れることで、作業がスムーズになり、生産性が向上します。これは、あらかじめ組み立てやパッケージといった作業をひとまとめにすることで、時間短縮につながるためです。必要な製品をまとめることで、作業者は滞りなく作業を進められます。

作業時間やコストの見直しにつながる 

組み立てに必要な部品を作業単位で準備しておくことで、作業者が部品を探したり、保管場所まで取りに行ったりする時間を短縮できます。その結果、作業工数や人員配置を見直しやすくなります。ただし、キットを準備するための人員やスペースも必要になるため、前後の工程を含めて費用対効果を確認することが大切です。 

ミスを減らせる

キッティングにより、製品を事前にグループ分けしておくことで、複数の製品が含まれる場合であっても、部品の入れ忘れ、個数間違いといった人為的ミスを減らせます。その結果、間違った出荷や不完全な出荷のリスク削減が期待できるでしょう。また、ピッキングや梱包の段階で、個々の部品を紛失したり置き忘れたりするリスクも減らせます。

在庫管理の最適化が実現する

キッティングによって部品の使用状況や工程ごとの必要数を把握しやすくなり、在庫管理の精度向上につながります。WMSなどのシステムと連携すれば、キットに使用した部品を在庫情報へ反映しやすくなります。ただし、欠品や過剰在庫を抑えるには、需要予測や発注管理なども含めた運用が必要です。 

多品種少量生産に対応しやすい

工場におけるキッティングは、製品仕様ごとの組み合わせに対応しやすい点がメリットです。そのため、特定の顧客の好みに合わせた対応もスムーズです。多品種少量生産への対応も可能です。顧客の要望にあわせて、必要なものを組み立てて提供できるため、顧客満足度向上につながります。

工場におけるキッティングの課題と解決策

工場におけるキッティング作業には、業務効率化、在庫管理の最適化などのメリットがある一方で、以下のような課題も抱えています。

・導入コストがかかる

・人手が必要である

・作業スペースを確保する必要がある

これらの課題の解決策として、以下のような方法が挙げられます。

・中長期的な視点で費用対効果を見極める

・工場レイアウトを最適化する

・設備の導入による自動化・省人化、DX化を進める

キッティングを成功させるコツ

工場のキッティングを成功させ、メリットをいかすには事前準備やPDCAを回すといった工程が必要です。ここでは、成功のための5つのコツを解説します。

事前準備をする

工場の作業工程1つひとつは単純ですが、その項目は多岐にわたります。準備が不十分なまま作業を始めると、現場での判断が増え、作業者の負担過多になりかねません。設定漏れや未確認の項目がないか注意しつつ、事前準備を進めます。作業を行う目的を明確にし、どの部品をキッティングするのか、どこで作業するのかを決めることが重要です。

改善を繰り返す

キッティングの導入が最初からスムーズに進むとは限りません。組み立てやピックアップにかかる時間を把握し、必要に応じて改善を繰り返す過程が大切です。作業終了後に振り返り、フィードバックをいかすことで、更なる改善が期待できます。PDCAサイクルを回し、作業時間の短縮と品質の均一化の実現を目指しましょう。

ツールやソフトウェアを活用する

キッティング作業の正確性や効率を高めるには、ハンディターミナルやバーコード、ピッキング支援システムなどの活用が有効です。作業対象や数量を画面に表示し、読み取り結果と照合することで、部品の取り間違いや数量間違いの防止につながります。物理的な搬送や仕分けを自動化する場合は、搬送ロボットや自動仕分け設備などの導入も検討できます。 

研修や教育を行う

キッティング作業を行う作業者の研修や教育も重要なポイントです。研修では、キッティングの重要性や優れたキットの条件を説明し、理解を促すことがポイントです。定期的な研修や教育プログラムは、作業者のスキル向上につながります。

マニュアルを整備し、手順を文書化することで、全作業者が統一された手順で作業可能になります。作業に慣れるまでは、経験者がサポートに入り、作業者の理解とスキル向上を手助けしましょう。

既存システムと連携する

WMSやERPなど、工場や倉庫で使用している既存システムとの連携も重要です。在庫数や作業指示、キッティングの進捗などのデータを連携することで、情報の二重入力を減らし、作業状況を把握しやすくなります。連携を検討する際は、対象となるデータや更新するタイミング、エラー発生時の対応方法も整理しておきましょう。 

導入効果の測定方法

キッティングの導入効果を確認するには、導入前後の作業時間やミスの発生率などを比較します。主な指標として、次のようなものが挙げられます。

・1キットあたりの作業時間
・ピッキングや部品取りそろえのミス発生率
・組み立て工程の待ち時間
・作業者1人あたりの処理数
・仕掛品や部品在庫の量

費用面の効果を確認する場合は、設備やシステム、人員などにかかった投資額と、導入によって得られた効果を比較します。短期間の結果だけで判断せず、品質や作業負担への影響も含めて継続的に確認することが大切です。

キッティングのトレンドと今後の予測

工場では今後、ロボットによる作業の自動化が進むと予測されています。これにより、人員不足の解消、安全性向上、スピード感上昇といったメリットにつながると期待できます。企業のDX化により、キッティングの需要は拡大していくと考えられています。

キッティングに使えるシステム

工場のキッティングに活用できるシステムの例として、WMS、ロボティクスが挙げられます。それぞれの特長や活用のメリットを解説します。

WMS

WMSは、倉庫内の在庫や入出庫、保管場所、ピッキングなどを管理するシステムです。キッティングに必要な部品の所在や在庫数を把握し、作業指示と連携することで、部品の取りそろえを効率化できます。また、バーコードなどを活用して作業結果を照合すれば、取り間違いや数量間違いの防止にも役立ちます。 

ロボティクス

ロボティクスの導入により、必要な部品箱の収集や、部品箱からキッティング台車への仕分けといった組み立て・搬送工程を自動化できます。キッティング作業のスピードと精度が向上するため、安全性の向上や労働力不足などの課題解決につながると期待できます。人為的ミスの減少、業務効率化が実現します。

まとめ

工場におけるキッティングとは、組み立てや作業に必要な部品・資材をあらかじめ取りそろえ、後工程へ供給することです。導入によって作業時間の短縮やミスの削減が期待できますが、安定した運用には、作業手順や在庫管理、レイアウト、人員配置などを含めた体制づくりが欠かせません。

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【執筆者】
会社名:アドレス・サービス株式会社
部署名:営業開発部