コールセンターでは、オペレーターだけでは対応が難しい問い合わせやクレームなどが発生することもあります。そのような場合に重要となるのが、SV(スーパーバイザー)や専門部署などへ適切に対応を引き継ぐ「エスカレーション」という仕組みです。

この記事では、コールセンターにおけるエスカレーションの意味やよくある課題、不要なエスカレーションを減らすための施策などについて解説します。自社のコールセンター業務におけるエスカレーションについて詳しく知りたい企業の担当者は、参考にしてください。

コールセンターにおけるエスカレーションとは

エスカレーションとは、英語で段階的な拡大や上昇を意味する言葉です。コールセンターでは、一次対応のオペレーターだけでは応対が難しい問い合わせやクレームが発生する場合があります。

コールセンターにおけるエスカレーションとは、一次対応のオペレーターだけでは解決が困難な案件をSVや専任者などへ引き継ぐことです。単なる「電話の転送」とは異なり、適切な担当者へ対応を引き継ぐ仕組みを指します。

エスカレーションが必要になる主なケース

コールセンターでエスカレーションが必要になるケースとして、主に以下の場合が挙げられます。

・オペレーターの権限を超える要望:規定外の返金や補償、契約内容の変更などを求められた場合 

・クレームやトラブル:一次対応では解決が難しく、責任者による対応を求められた場合 

・専門的な知識や判断が必要な問い合わせ:製品の仕様や不具合の原因など、専門部署による確認が必要な場合 

コールセンターでエスカレーションが重要な理由

コールセンターでエスカレーションを行うことで、オペレーターの負担や問題が複雑化するリスクなどを減らすことができます。ここでは、顧客満足度や応対品質の低下を防ぐという点も含め、エスカレーションが重要な理由を3つに分けて解説します。

オペレーターの負担を軽減し判断ミスを防ぐ

一次対応のオペレーターでは対応が難しい問い合わせやクレームをエスカレーションすることで、オペレーターの負担が軽減できます。無理のない範囲で対応を分担できるため、心理的負担も軽減できるでしょう。また、対応に悩む案件について、SVや専任者などへ引き継ぐことができるため、判断ミスも防止できます。

問題が複雑化・重大化するリスクを軽減する

自身では対応が難しい案件を一次対応のオペレーターが独断で回答したり、権限を超えた対応を行ったりすることで、トラブルやクレームに発展することがあります。エスカレーションにより、これらのトラブルを防止し、誤った回答によって問題が複雑化・重大化するリスクを軽減できます。

顧客満足度や応対品質の低下を防ぐ

一次対応のオペレーターが自身では解決が難しい案件をスムーズにエスカレーションすることが、顧客対応の品質維持に重要です。一次対応のオペレーターがエスカレーションを行わず、対応を長引かせたり、適切な担当者につなげなかったりすると、顧客の不満や不信感につながりかねません。

コールセンターのエスカレーションでよくある課題

コールセンターのエスカレーションには、オペレーターの負担軽減や顧客満足度の向上といったメリットがある一方で、判断基準の曖昧さや負担の集中といった課題もあります。ここでは、3つの課題について解説します。

エスカレーションの判断基準が曖昧である

どのタイミングでエスカレーションすべきかを明確にしないとオペレーターによって判断に差が生じかねません。その結果、判断が遅れる、または安易に引き継ぎが行われるなどの問題が発生することになります。

特に、経験が浅いオペレーターはエスカレーションの判断に迷うことが多く、対応に遅れが生じやすいため注意が必要です。オペレーター個人の判断に任せず、一貫性を持った顧客対応が求められます。

特定のSVや担当者に対応が集中する

エスカレーション先が限られていたり、判断基準が曖昧で安易なエスカレーションが増えたりすると、特定のSVや担当者に業務が集中することがあります。その結果、担当者の負担増加や対応の遅延につながるおそれがあります。オペレーターのスキルや知識を高め、対応できる業務の範囲を広げたり、エスカレーションを受ける担当者を増員したりするといった対策が必要です。

情報共有に時間がかかり対応が長引く

引き継ぎ時の情報共有が不十分だと、対応内容の確認に時間がかかります。顧客は長時間待たされたり、同じ説明を繰り返されたりすると不満が募ります。また、顧客対応に時間がかかると、問い合わせの電話がつながりにくくなり、顧客満足度の低下につながることも考えられます。

コールセンターのエスカレーションをスムーズにするためのポイント

コールセンターのエスカレーションをスムーズにするためのポイントを4つ解説します。

エスカレーションの対象や判断基準を明確にする

事前にどのような案件についてエスカレーションするかを決めていきます。案件の内容や緊急度などに応じて、オペレーターの経験や個人の判断だけに依存しない統一した基準を設けることが、スムーズなエスカレーションにつながります。

エスカレーションのフローや担当者を明確にする

誰に、どのような方法で引き継ぐのか、エスカレーションのフローや担当者を明確にすることが大切です。SVや担当者の不在時の対応も想定しておくことが重要です。フローを整備することは、属人的な対応の防止につながります。案件の内容や緊急度に応じて、引き継ぎ先や連絡方法を決めておきます。

また、引き継ぎ後の回答期限や、顧客へ途中経過を案内するタイミングも定めます。担当者が不在または対応できない場合に備え、次の連絡先や代替フローを整備することも必要です。フローは図や一覧にして、オペレーターが対応中に確認しやすい状態にすることが求められます。

必要な情報を正確に共有する

問い合わせ内容や顧客情報、これまでの対応履歴などを整理しておくことで、引き継ぎ先がすぐに状況を把握できます。情報が整理されていないと、必要な内容をすぐに参照できず、顧客を待たせたり、同じ質問を繰り返したりして、不満や不快感を与えるおそれがあります。情報共有のルール整備が重要です。

定期的にルールを見直す

運用ルールを定期的に見直し、改善し続けることが重要です。頻繁にエスカレーションが発生している場合は、フローに不備がないか確認し、改善点を見つけましょう。また、エスカレーションの頻度は変わらなくとも、担当者の変更があった際にもルールの更新が必要です。

コールセンターで不要なエスカレーションを減らすための施策

コールセンターで不要なエスカレーションを減らすための施策として、オペレーターの教育や研修の実施、情報共有しやすいシステムなどが挙げられます。ここでは、5つの施策について解説します。

FAQやナレッジを整備する

FAQやナレッジを整備し、よくある質問への回答だけでなく、対応履歴や商品情報、過去の事例なども確認できるようにすることで、オペレーターが対応中に必要な情報を検索しやすくなります。問い合わせ内容やエスカレーションの発生状況をもとに、FAQやナレッジを継続的に更新することが重要です。

オペレーターの教育や研修を充実させる

商品知識や応対スキルの研修で、一次対応で解決できる範囲を広げられます。どのような案件を自分で対応し、どの時点でSVや担当部署へ引き継ぐのかを判断するための研修も必要です。

実際の事例を用いたロールプレイングなどを通して、エスカレーションの判断基準や引き継ぎ方法を共有することが重要です。オペレーターの教育や研修を充実させることで、コールセンター側のミスによるエスカレーションの削減も可能です。

オペレーターの対応範囲や権限を明確にする

オペレーターが判断できる範囲と、SVや担当部署への確認が必要な範囲を明確にすることが重要です。対応範囲は、商品知識や経験、研修の受講状況などに応じて設定します。

情報共有しやすいシステムを活用する

オペレーターとSVが顧客情報や対応履歴を共有できるシステムの活用が必要です。SVへの転送のほか、チャット相談、担当者の対応状況の確認などにも活用可能です。通話録音や対応記録を共有することで、引き継ぎ後に同じ説明を繰り返す負担を減らせます。搭載されている機能はシステムによって異なるため、自社のエスカレーションフローに合うものを選ぶことが重要です。

外部企業と連携して対応体制を整える

顧客対応は、多様化・高度化しています。自社だけで必要なスキルを持つ人材を確保・育成することが難しいケースもあります。その場合、コールセンター業務の経験やノウハウを持つ外部企業の活用も、対応体制を整える選択肢の1つです。 

外部企業のノウハウを活用しながら、FAQ、判断基準、対応フローなどを整備します。委託先で対応する範囲と自社へ引き継ぐ範囲、連絡先、回答期限、情報共有方法などを事前に決めることも重要です。

まとめ

コールセンターでは、一次対応のオペレーターでは判断が難しい要望やクレームをエスカレーションし、SVや専門部署などへ引き継ぐことが求められます。エスカレーションする範囲やフローを明確にし、必要な情報を正確に引き継ぐことが重要です。

アドレス・サービス株式会社では、製品や修理、ECサイトに関する問い合わせ対応をはじめ、修理・物流と連携したコールセンター運営を支援しています。問い合わせ内容の記録・分析や、Q&Aサイトなどへの改善提案にも対応しています。エスカレーションを含む顧客対応の体制や運用にお悩みの際は、お気軽にお問い合わせください。

【執筆者】
会社名:アドレス・サービス株式会社
部署名:営業開発部