「とんでもないことでございます」は正しい?コールセンターでの言葉遣いを解説
コールセンターでは、顔が見えない状態で顧客とやり取りをします。そのため、言葉遣いや敬語の使い方などが企業の印象を大きく左右します。「とんでもないことでございます」は、顧客からのお褒めの言葉に対して謙遜する際などに使われる表現のひとつですが、場面によっては別の表現が適していることもあります。
この記事では「とんでもないことでございます」は日本語として正しいのか、コールセンターで避けたい敬語表現や好印象につながる言葉遣いについて解説します。コールセンター業務に携わる担当者は、ぜひ役立ててください。

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「とんでもないことでございます」はコールセンターで使える?
「とんでもないことでございます」は、文法上問題のない敬語表現です。「とんでもない」は一語の形容詞であるため、「ない」の部分だけを「ございません」に置き換えた「とんでもございません」は、文法上不適切だと説明されることもあります。
一方、文化庁の「敬語の指針」では、相手からの褒めや称賛を軽く打ち消す場面で「とんでもございません」を使うことは問題ないとされています。そのため、コールセンターでも、相手からの褒め言葉に対して謙遜する場面などで使用できます。
ただし、感謝への返答として常に適しているとは限りません。状況に応じて「恐れ入ります」「お役に立てて何よりでございます」「こちらこそありがとうございます」などを使い分けると、意図がより明確に伝わります。
参考:敬語の指針|平成19年2月2日文化審議会答申|文化庁(47ページ)
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敬語の基本ルール
敬語は、一般的に丁寧語・尊敬語・謙譲語の3つに大きく分けて説明されます。文化庁の「敬語の指針」では、より詳しく「尊敬語」「謙譲語Ⅰ」「謙譲語Ⅱ(丁重語)」「丁寧語」「美化語」の5種類に分類されていますが、ここではコールセンターで特に使用する機会が多い、丁寧語・尊敬語・謙譲語の3つについて解説します。相手や行動の主体、使用する場面に応じて、適切に使い分けることが大切です。
丁寧語
丁寧語は、相手に対して丁寧に伝えるための敬語です。文末に「です」「ます」「ございます」などを使用します。
・言う:言います
・送る:送ります
・する:します
・待つ:待ちます
・こちらです:こちらでございます
尊敬語
尊敬語は、顧客など相手側の行動や状態を立てて表現する敬語です。コールセンターでは、顧客の発言や行動について述べる際に使用します。
・言う:おっしゃる
・送る:お送りになる、お送りくださる
・受け取る:お受け取りになる
・する:なさる
・待つ:お待ちになる、お待ちくださる
・伝える:お伝えになる
・わかる:おわかりになる、ご理解くださる
謙譲語
謙譲語は、自分や自社側の行動をへりくだって表現する敬語です。文化庁の「敬語の指針」では、行動の向かう先である相手を立てる「謙譲語Ⅰ」と、自分側の行動を相手に対して丁重に述べる「謙譲語Ⅱ(丁重語)」に分けられています。コールセンターでは、「申し上げます」「お送りします」のように顧客を立てる表現や、「申します」「いたします」のように自分側の行動を丁重に伝える表現を使用します。
・言う:申します、申し上げます
・送る:お送りします
・受け取る:頂戴します、拝受します
・する:いたします
・待つ:お待ちします
・伝える:申し伝えます
・行く、来る:参ります
・いる:おります
・依頼や説明を理解した際の返答 :かしこまりました、承知しました
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コールセンターで避けた方がよい敬語表現
敬語のなかには、コールセンターでの使用を避けた方がよい表現もあります。ここでは、5つの表現について、避けるべき理由と正しい表現を解説します。
「よろしかったでしょうか」
「よろしかったでしょうか」は、以前に聞いた内容や、すでに選択された内容をあらためて確認する場面では使用できます。一方、現在その場で相手の意向を尋ねる場合は、「よろしいでしょうか」が自然です。
例えば、顧客が先ほど伝えた内容を確認する場合は「ご希望の商品はこちらでよろしかったでしょうか」、これから確認や操作を行ってよいか尋ねる場合は「こちらで確認してもよろしいでしょうか」のように使い分けます。
「ございますでしょうか」
「ございますでしょうか」は、「ございます」と「でしょうか」が重なり、冗長な印象を与えやすい表現です。相手の名前を確認する場合は、「〇〇様でいらっしゃいますか」または「〇〇様でございますか」とすると、簡潔で自然な表現になります。
「なるほど」「なるほどですね」
「なるほど」「なるほどですね」は相手の発言に同意や納得を示す言葉として多用しがちです。しかし、相手の言葉を評価するニュアンスが含まれるため、顧客対応には使わないことをおすすめします。「なるほど」や「なるほどですね」は、状況に応じて「さようでございますか」や「承知いたしました」に言い換えましょう。
相手の発言に同意できる場合に限り「おっしゃるとおりです」も使用可能です。
「了解いたしました」
「了解いたしました」は文法上誤った表現ではありませんが、「了解」は相手の事情や申し出を理解・承認したことを表す言葉です。顧客対応では、より丁寧な印象を与える「承知いたしました」や、依頼を引き受ける際の「かしこまりました」を使用するとよいでしょう。
「お名前をいただけますか」
「お名前をいただけますか」という表現も、一般的に使われています。しかし「名前をもらう」と受け取れるため、コールセンターでの使用は控えましょう。より自然で丁寧な表現である「お名前を伺ってもよろしいでしょうか」が適切です。
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コールセンターで好印象につながる言葉遣いのポイント
顔が見えないやり取りでは、言葉遣いひとつで相手に与える印象が大きく変わります。ここでは、コールセンターで顧客に好印象を与える言葉遣いについて解説します。
専門用語や社内用語を使わない
業界内では当然のように使われている専門用語や略称、社内用語は、無意識に使用してしまいがちです。例えば、SV(スーパーバイザー)、ローンチ(サービスの開始)、エビデンス(根拠や記録)などが挙げられます。顧客に伝わりにくい言葉は避け、相手が理解しやすい表現に言い換えることが大切です。
相手の話を否定せずに受け止める
顧客から厳しい意見や対応が難しい要望を受けた場合も、すぐに否定したり反論したりせず、まずは相手の話を最後まで聞くことが大切です。ただし、相手の主張をすべて肯定する必要はありません。事実と気持ちを分けて受け止め、状況に応じた対応を伝えます。
例えば、「ご不便をおかけし、申し訳ございません」「そのような状況だったのですね」「詳しい状況をお聞かせいただけますか」などと伝えたうえで、対応できる内容や代替案を説明します。
対応が難しい場合も、「できません」とだけ伝えるのではなく、理由や別の方法を分かりやすく案内することで、顧客の理解を得やすくなります。
イエス・バット話法
イエス・バット話法は、相手の意見を肯定した後に、「逆接」を入れて自社の提案を伝える話法です。以下は、イエス・バット話法の一例です。
「〇〇について、金額が高いと感じられたのですね。そのお気持ちはよくわかります。こちらの価格には、〇〇の機能や××といったアフターフォローの金額も含まれております。そのため、この価格設定となっております」
イエス・アンド話法
イエス・アンド話法は相手の意見を肯定した後に「順接」を加えて自社の提案を伝える話法です。以下は、イエス・アンド話法の一例です。
「〇〇について、金額が高いと感じられたのですね。それでしたら、××プランのご利用はいかがでしょうか。機能は制限されますが、サポート体制や〇〇や××の基本機能は今までどおりご利用いただけます」
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コールセンターで使えるクッション言葉
クッション言葉は、相手にお願いをする、お断りをするなどのシーンで添える言葉です。質問するとき、お願いするとき、お断りするときの3つの場面に分けて、おもなクッション言葉と例文を解説します。
質問するときのクッション言葉
質問するときには以下のようなクッション言葉があります。
・恐れ入りますが
・失礼ですが
・差し支えなければ
以下は、質問するときのクッション言葉の例です。
・恐れ入りますが、記載されている4桁の数字をお伝えいただけますか
・失礼ではございますが、登録されているお名前をもう一度お伺いしてもよろしいでしょうか
・差し支えなければ、ご登録電話番号の変更もこちらでお手続きいたしますが、いかがなさいますか
お願いするときのクッション言葉
お願いするときも、質問するときと同様、以下のクッション言葉を使用します。
・恐れ入りますが
・失礼ですが
・差し支えなければ
以下はお願いするときのクッション言葉の例です。
・恐れ入りますが、お名前をお伺いできますか
・失礼ではございますが、〇〇を確認させていただいてもよろしいでしょうか
・差し支えなければ、今回ご連絡いただいた経緯をもう少し詳しくお聞かせいただけますか
お断りするときのクッション言葉
お断りするときは以下のようなクッション言葉を使用します。
・申し訳ございませんが
・せっかくですが
・あいにくではございますが
以下は、お断りするときのクッション言葉の例です。
・申し訳ございませんが、〇〇の対応はできかねます。
・せっかくのご提案ですが、〇〇についてはご用意がございません。
・あいにくではございますが、〇〇には対応しておりません。
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コールセンターの応対品質を向上させる方法
コールセンターの応対品質を向上させるには、言葉遣いについて気を付けるだけではなく、オペレーターの研修を実施したり、応対内容を分析したりすることも有効です。ここでは、3つの方法について解説します。
オペレーターへの研修を実施する
オペレーターへの研修の実施により、応対品質の向上が期待できます。敬語や電話対応の基本、商品・サービスに関する知識習得を取り入れた研修を定期的に実施することで、応対品質の維持・向上につながります。
応対内容を分析して改善につなげる
オペレーターの応対内容を分析し、課題や改善点を可視化することも重要です。通話モニタリングを行い、会話の流れや言葉遣い、案内内容に問題がないか、オペレーターによって対応品質に差がないかを確認します。顧客アンケートや口コミ、問い合わせ内容なども、課題を把握する材料になります。応答率や一次解決率、顧客満足度などの指標も確認しながら、研修やマニュアルの改善につなげましょう。
コールセンター業務を外注する
コールセンター業務の一部または全体を外部へ委託し、応対体制を整える方法もあります。自社で研修や品質管理の体制を構築するには、人材や時間、運営ノウハウが必要です。教育体制や品質管理の仕組みを持つ委託先と連携することで、応対品質の維持・向上や、社内担当者の負担軽減が期待できます。
委託先を選ぶ際は、オペレーターの教育体制やモニタリング方法、情報共有の仕組みなどを確認することが重要です。すべてを外部へ委託するだけでなく、受付業務の一部や繁忙期の対応など、必要な範囲を切り出し、自社対応と組み合わせて役割分担を設計する方法もあります。
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まとめ
「とんでもないことでございます」は、文法上問題のない敬語表現です。「とんでもございません」も、相手からの褒めや称賛を軽く打ち消す場面では使用できます。ただし、言葉遣いは正しさだけでなく、使用する場面や相手への伝わり方も考慮することが大切です。研修や応対内容の分析を継続し、オペレーターが状況に応じて言葉を使い分けられる体制を整えましょう。
アドレス・サービス株式会社では、販売や修理に伴う問い合わせ対応をはじめ、幅広いコールセンター業務を支援しています。修理・物流部門と連携した迅速な対応や、問い合わせ内容の分析・フィードバックにも対応可能です。小規模な窓口や業務の一部からでもご相談いただけますので、コールセンターの運営体制や応対品質にお悩みの際は、お気軽にお問い合わせください。
【執筆者】
会社名:アドレス・サービス株式会社
部署名:営業開発部




