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PCキッティングに必要な知識とは?手作業やクローニングの手順・注意点など具体的に解説

2025.09.09

作業員

キッティングとは、デバイスを使用できる状態に設定する作業です。事前にキッティングを済ませておくことで、エンドユーザーが使用できる状態にします。キッティングの由来は、一式まとめられたものの意味をもつ「kitting」です。元々は製造業の部品をまとめる際に使用されていた言葉ですが、IT業界ではPCをはじめとしたデバイスの設定を指します。

目次

キッティングとは

キッティングとは、デバイスを使用できる状態に設定する作業です。事前にキッティングを済ませておくことで、エンドユーザーが使用できる状態にします。キッティングの由来は、一式まとめられたものの意味をもつ「kitting」です。元々は製造業の部品をまとめる際に使用されていた言葉ですが、IT業界ではPCをはじめとしたデバイスの設定を指します。

PCキッティングに必要な知識とスキル

PCのキッティングは、PCやネットワークなどの基礎知識が必要です。ここでは、必要な知識とスキルを解説します。

PCに関する基本的な知識

PCのキッティングには、キーボードやマウスの基本操作やオフィス系ソフトの操作など、基本的な知識が求められます。正確に作業を進めるために、タイピングの操作にも慣れておくとよいでしょう。キッティングはPCの基礎知識が必要ですが、手順書に沿って行うため、高度な知識やスキルなどは不要です。

ネットワークやハードウェアに関する知識

PCのキッティングをする際は、有線や無線の選択やIPアドレスなど、システムに接続するための知識が必要です。また、セットアップの際に、「BIOS(基本入出力システム)」をはじめとする設定が必須です。UEFI(統合拡張ファームウェアインターフェイス)の設定も行うため、ハードウェアや起動順序などの管理の知識もあるとよいでしょう。

コミュニケーションスキル

コミュニケーションスキルは、チームで作業をする際に求められます。たとえば、OSの移行や機器の入れ替えなどを実施する際は、複数人での作業が必要です。チーム単位で作業をする際は、業務上に必要なコミュニケーションを取らなければなりません。作業中のトラブルが起きた場合でも、速やかに相談して解決につなげるため、コミュニケーションスキルが求められます。

手作業でキッティングを行う手順

手作業でキッティングを行う際は、以下の手順で行います。

1.PCの電源を入れる
2.周辺機器を接続する
3.BIOSのセットアップ、ビットロッカーの設定をする
4.OSをインストールする
5.ユーザーIDやパスワードなどの設定を行う
6.ソフトウェアのインストールと設定を行う
7.動作確認をする
8.IT資産管理システムへの登録と資産管理ラベルを貼付する

手作業でキッティングを行うメリット・デメリット

手作業でのキッティングは、事前の準備不要で開始できて、特別なツールや技術が必要ない点がメリットです。また、PCごとに異なるツールやソフトウェアのインストールもできます。台数が少ない場合は、短時間で作業が完了するでしょう。

PCの台数が多い場合は、時間と労力がかかる点に注意が必要です。作業量が増えると人件費もかかり、作業の品質にもムラが出てしまいます。PCの台数を考慮して、手作業でキッティングするかどうかを決めるとよいでしょう。

クローニングを行う手順

クローニングとは、マスターPCの設定をコピーすることです。以下の手順で実施します。

1.マスターPCを作成する
2.Sysprepで個別設定する
3.マスターイメージを抽出する
4.BIOSのブートシーケンスを変更する
5.クローニングを行う
6.ユーザー・グループごとの設定をする
7.動作確認をする
8.IT資産管理システムへの登録と資産管理ラベルを貼付する

クローニングを行うメリット・デメリット

クローニングを行うメリットは、PCの台数が多い場合でも対応できる点です。設備の余裕にもよりますが、短期間で数百台の設定が可能です。設定の一貫性も保てるため人為的なミスも起こりにくく、再セットアップも容易です。

ただし、マスターPCの作成に数週間〜1か月程度の期間が必要です。クローニングはPCごとの設定も変更できず、特別なツールの使用や技術も求められます。

クローニングを行う際の問題と注意点

クローニングを行う際は、ライセンスの購入や申請などが必要です。ここでは、問題と注意点を解説します。

ボリュームライセンスを購入する

ボリュームライセンスとは、複数台のOSライセンスのことです。クローニングをする際に、OSに付随する「再イメージング権」の購入が必要です。ソフトウェアにもボリュームライセンスが必要なため、必ず購入しましょう。権利を持たずにクローニングする場合、ライセンス違反となります。

プレインストールされたWindowsOSではマスターPCの作成ができない

プレインストールされたWindowsOSは、クローニングの許可を得ていません。その購入したPCに対してのみ、使用許可を得ているOEMライセンスであるためです。OSをコピーすると、ライセンス違反となるため避けましょう。事前にボリュームライセンスを購入して、マスターPCでクローニングをする許可を受ける必要があります。

ライセンス認証の上限値を増加する申請を欠かさずに行う

ライセンス認証とは、インストールされている台数を確認する手続きです。クローニングする際は、機器に応じてライセンス認証を受ける必要があります。購入ライセンスと同じ数だけ、上限値を増加するとよいでしょう。事前に申請をすることで、認証に不備が発生するリスクを抑えられます。

キッティングがきついといわれる理由

キッティングがきついといわれる理由は、重量物の運搬や作業の単調さなどです。パソコンやディスプレイを運び、キッティングの作業後に梱包することを繰り返すと、きつさを感じるでしょう。段ボールや発泡スチロールなどのゴミも発生するので、片付けの時間や手間もかかります。

また、ミスしないように設定する作業が疲労につながります。集中力が途切れて、モチベーションの維持も困難なため、精神的な負担を考慮しなければなりません。

自社でキッティングを行う際の問題と注意点

自社でキッティングをする際は、管理体制を構築し、品質を維持しなければなりません。ここでは、問題と注意点を解説します。

社内のセキュリティ対策や管理体制の構築が必要

キッティングをする際は、サイバー攻撃やウイルス感染などのセキュリティ対策が必要です。情報漏洩を防ぐために、ウイルス対策ソフトやWebフィルタリングの活用が求められます。また、従業員の私的使用の可能性も考慮し、アクセス制限やロック機能などを設定して管理体制を構築しましょう。

作業ミスの増加や属人化による品質のばらつき

PCのキッティングは、作業によって品質にばらつきが出ます。設定ミスの増加や属人化などが原因で、品質が安定しなくなるリスクがあります。設定ミスがあるPCを配布すると、業務の遅延が発生し、サポート対応が必要になるでしょう。手作業のキッティングの場合は、作業の抜け漏れが起きやすいため注意しましょう。

PCキッティングを効率化するポイント

PCのキッティングは、マニュアルの活用や専門業者への依頼も検討しましょう。ここでは、効率化するポイントを解説します。

キッティングの手順をマニュアルに落とし込む

キッティング作業の手順をマニュアル化すると、ミスの防止につなげられます。OSやアプリケーションのインストール手順など、工程ごとにトラブルの対応方法を詳細に記載するとよいでしょう。煩雑な手順をマニュアルに落とし込み、作業ごとのチェックポイントを押さえることが大事です。

専門業者にアウトソーシングして負担を軽減する

専門業者にアウトソーシングを依頼すると、キッティングの作業の負担を軽減できます。時間や手間、人員のリソースなどを考慮すると、専門業者スキルを有効に活用するメリットは大きいといえます。クローニングの場合は、専門知識が必要なだけでなく、ミスが発覚する際に復旧の時間がかかるため、アウトソーシングの活用がおすすめです。

キッティング代行サービスに依頼する際のポイント

キッティング代行サービスは、自社の課題によって業者の選び方が異なります。ここでは、依頼する際のポイントを解説します。

サービスの対応範囲を確認する

キッティング代行サービスは、業者によって対応の範囲が異なります。たとえば、ネットワーク設定やセキュリティ構築などは、対応していないケースがあります。可能な台数や期間なども異なるため、自社の依頼したいキッティングの内容を事前に確認しましょう。広範囲な作業を依頼できる場合、自社の負担を減らしやすくなります。

対応エリアを確認する

業者によって対応エリアが異なるため、自社が依頼できるかどうかを確認しましょう。全国対応や特定のエリアのみなど、作業拠点やエリアが限られている場合があります。特定のエリアのみ対応の場合は、自社の近隣地域で依頼先を探すとよいでしょう。「キッティングセンター」という、作業拠点を事前に調べておくことが大事です。

費用や料金プランを把握する

キッティング代行サービスは、業者によって費用や料金プランが異なるため、比較検討したうえで依頼しましょう。依頼台数や作業内容など、自社のキッティングする内容によって費用が異なります。依頼する台数によって予算を調整できるサービスを利用すると、コストの負担を抑えられるでしょう。

まとめ

PCのキッティングには、基本操作やネットワークなどの知識が必要です。作業する台数が多い場合、各種設定の作業負担が増えます。作業の品質を維持するためには、代行サービスへの依頼を検討することをおすすめします。

アドレス・サービス株式会社は、修理や物流、カスタマーサポートなど、幅広い業務をワンストップで支える企業です。品質評価や製造請負、システム開発にも対応しており、総合的なアウトソーシングを提供します。PCキッティングに関するお問い合わせをご希望の方は、以下のリンクからお問い合わせください。

【執筆者】
会社名:アドレス・サービス株式会社
部署名:営業開発部

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