昨今はさまざまな職種で業務用のAIが導入されており、そのひとつがコールセンターです。この記事では、コールセンターで活用されているAIの種類、AIの導入がもたらすメリットやデメリットなどについて解説します。AIを導入する際の手順も解説するため、AIの利用を検討している担当者はぜひ参考にしてください。


目次
コールセンターでAI(人工知能)の導入が進んでいる背景
コールセンターでAIの導入が進んでいる背景として、AI技術の発展が挙げられます。かつてのAIは用途が限られていましたが、多くの企業がAIを導入したことで成功事例が蓄積されていきました。その結果、AIの精度は向上し、業務効率の向上や人手不足の解消などを目指し、AIを導入するコールセンターが増えました。
コールセンターで活用されているAIの種類
コールセンターで活用されているAIは6種類あります。それぞれの特徴について詳しく解説します。
チャットボット
チャットボットは、テキストベースの自動応答システムです。過去の問い合わせ内容をはじめとするデータを学習することで、精度の高い回答を提示できます。コールセンターにチャットボットを導入すれば、顧客からの問い合わせにリアルタイムで対応できるようになります。
ボイスボット
ボイスボットは、音声による自動応答システムです。顧客の音声をデータとして受け取り、解析して適切な回答を提示します。シンプルな問い合わせをボイスボットが担当し、複雑な質問をオペレーターが担当するような使い方も可能です。
FAQシステム
FAQシステムは、顧客のよくある質問に対して回答を用意し、顧客の自己解決を促すシステムです。AIが搭載されているものは回答の精度も高く、新人オペレーターでも顧客の質問にスムーズに対応できます。
音声認識ツール
音声認識ツールは、人間の音声をデータ化し、文章に変換するシステムです。テキストは音声よりも検索性が高いため、問い合わせ内容をデータベース化すれば、新人の育成やマニュアルの作成などをする際に役立ちます。
テキストマイニング
テキストマイニングは、大量のデータのなかから、有益な情報をピックアップするシステムです。コールセンターに導入すれば、問い合わせ内容に対する適切な回答を見つけたり、サービスの改善点を探したりする際に役立ちます。
AI検索システム
AI検索システムは、高度な検索機能によって顧客対応をサポートするシステムです。通常の検索エンジンでは見つけられない情報も、AIの力を借りることで幅広く調査し、結果を提示できます。
コールセンターAIのメリット
AIを導入することで、コールセンター側はどのようなメリットを享受できるのか、解説します。
業務効率が向上する
コールセンターにAIを導入するメリットとして、業務効率の向上が挙げられます。昨今は労働人口の減少が進行しており、人的リソースの確保が困難になりました。しかし、AIを導入すれば業務効率が向上するため、限られた人的リソースでも仕事をスムーズに回せるようになります。また、負担が減ることで離職の防止や採用コストの軽減効果も期待できます。
顧客対応の品質を統一できる
顧客対応の品質を統一できることも、コールセンターにAIを導入するメリットです。コールセンターでは、オペレーターのスキルが原因で対応品質に差が生まれるケースがあります。対応品質にバラつきが発生すると、顧客からの信頼を失う事態になりかねません。AIを導入すれば全員が質の高い対応を実施できるため、顧客満足度の向上効果も期待できます。
BCP対策を実現できる
BCP対策の実現も、コールセンターにAIを導入することで得られるメリットのひとつです。BCP対策とは自然災害やシステム障害などのトラブルが発生した際に、事業を素早く再開できるようにするリスクマネジメントの一環です。コロナのようなパンデミックが再び発生しても、AIを導入しておけば在宅でもスムーズに問い合わせに対応できます。
コールセンターAIのデメリット
AIの導入にはメリットのみならず、デメリットも存在します。具体的にどのようなデメリットがあるか解説します。
導入・運用コストがかかる
コールセンターAIのデメリットとして、導入や運用コストがかかる点が挙げられます。導入するAIの種類によっては、既存のシステムを一新する必要もあり、費用がさらにかさむ可能性もあります。AIの導入をする場合は、事前に全体でどの程度の費用がかかるのか把握し、予算内で継続的に運用できるか確認しましょう。
学習に時間がかかる
学習に時間がかかる点も、コールセンターにAIを導入するデメリットです。AIは学習した内容をもとに自動応答や分析などを行うため、精度の高い対応ができるようになるまで時間がかかります。AIに読み込ませるデータの量によっては、学習の完了まで数か月単位の時間がかかる可能性もあります。
管理者やオペレーターが必要
コールセンターにAIを導入するデメリットとして、管理者やオペレーターが必要な点も挙げられます。AIの導入によって業務効率の改善が期待できますが、コールセンターの完全な無人化を目指すのは簡単ではありません。そのため、AI導入後も学習データの更新やシステム調整を行える人材を確保し続ける必要があります。
コールセンターAIの導入手順
実際にコールセンターにAIを導入するにあたって押さえておきたい、AI導入の手順について解説します。
1. 自社の課題の洗い出し
最初に、自社が抱えている課題を洗い出しましょう。企業によって、解決したい課題は異なります。課題に合ったAIを選べば、導入効果を高めることが可能です。企業が抱えている課題は1つとは限りません。複数ある場合は優先順位を決め、AIに任せる業務範囲を策定しましょう。
2. 製品の選定
課題の洗い出しが完了したら、導入する製品の選定を行いましょう。どの製品を導入するか迷ったときは、以下のポイントに注目してください。
・課題の解決に必要な機能が搭載されているか
・導入、運用コストは予算内に収まるか
・導入前後のサポート体制は整っているか
・セキュリティ対策は十分か
3. データ入力
AIツールの導入が完了したら、必要なデータを入力しましょう。たとえば、FAQシステムを導入した場合、想定される質問や回答などを登録します。なお、必要なデータの量が多いと、設定が完了するまで時間がかかります。そのため、入力期間として一定期間の余裕を持たせておきましょう。
4. 試験運用および本稼働
データの登録が完了しても、すぐに稼働すると不具合が発生する可能性があるため、事前に運用テストを行いましょう。具体的なチェックポイントとして、問題なく稼働するか、入力内容に対して想定した回答が返ってくるかなどが挙げられます。運用テストを無事にクリアできたら、導入したAIツールを本格的に稼働させます。
5. 運用開始後の確認および調整
AIは、学習するデータの量が増えるほど精度が高まります。そのため、AIツールの運用が始まっても、定期的に調整を実施しましょう。また、質問に対する回答や対応の履歴をチェックし、AIツールが問題なく稼働しているかも確認してください。問題があれば、都度データの更新や修正などを行いましょう。
コールセンターにAIを導入する際の注意点
コールセンターにAIを導入するにあたって知っておきたい、注意点について解説します。
自社の要件に合致しているか確認する
導入するAIが、自社の要件に合致しているか否か事前にチェックしましょう。AIは限定的な機能を備えたものもあれば、多種多様な機能を備えた汎用性の高いものもあります。しかし、どれだけ高性能でも、自社の課題を解決できる機能が搭載されていなければ、導入する意味がありません。
自社が抱えている課題は何か、課題を解決するためにはどのような機能が必要か、よく考えましょう。
トラブル発生時にサポートを受けられるか確認する
トラブルが発生したとき、サポートを受けられるかどうかも確認しましょう。AIを導入するにあたって、動作不具合などのトラブルは避けられません。サポート体制が整っていれば、トラブルが発生してもすぐに問題を解決できるため、業務の遅れを最小限に留められます。また、機能やサービスのアップデート対応もあるかチェックしましょう。
まとめ
コールセンターにAIを導入することで、業務効率の向上や顧客対応の品質の統一など、さまざまなメリットを享受できます。ただし、期待している効果を得るためには、自社の課題に適した製品を選ぶ必要があります。そのため、製品選びは慎重に行いましょう。
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【執筆者】
会社名:アドレス・サービス株式会社
部署名:営業開発部